コラム
愛知万博―「国威発揚」から「理念提唱」の万博へ
愛知万博(正式名称:2005年日本国際博覧会)は、2005年3月25日から同年9月25日まで、長久手会場および瀬戸会場で開催された国際博覧会で、121か国と4団体が参加しました。「愛?地球博」という愛称でも知られています。
国際博覧会は、総合的なテーマを扱う大規模博覧会である「登録博」と、特定?専門的なテーマを扱う小規模博覧会である「認定博」に区分されます。愛知万博は、1970年の大阪万博以来、日本では2度目の登録博です。来場者数は、目標の1500万人を大幅に上回る2204万9544人を記録しました。
「自然の叡智(Nature's Wisdom)」をテーマに、環境配慮、地球大交流、市民参加、ITという4つの柱が掲げられました。環境への取り組みとしては、ゴミの分別を徹底してリサイクル率75%を達成したほか、会場間の移動には燃料電池バスが利用され、「植物プラスチック」製の食器が使用されました。これらの取り組みは、来場者一人ひとりが環境問題に目を向ける良いきっかけになったと言えるでしょう。以前は「国威発揚型」であった国際博覧会を、人類の課題解決を目指す「理念提唱型」へと変容させたことは、愛知万博の大きな特徴です。また生態系への配慮という市民団体の声もあり、開会以前に本学E棟屋上から大鷹生息の動向が監視されたそうです。
また、東部丘陵線(通称:リニモ)は、万博会場へのアクセスのため、2005年3月6日に開業されました。リニモは、常電導磁気浮上式システムによる日本初の磁気浮上式鉄道(リニアモーターカー)の常設実用路線です。浮上走行のため、騒音や振動が小さく、乗り心地が快適です。現在では、愛知県立大学の学生の多くが利用しています。
長久手会場の跡地は、「愛?地球博記念公園(モリコロパーク)」として整備され、2006年7月15日に開園しました。2022年11月、同敷地内に「ジブリパーク」が開業したこともあり、記念公園は賑わいを見せており、愛知万博の記憶を受け継ぎつつ新たな展開を見せています。愛知県立大学は、2014年に記念公園と包括連携協定を締結しています。地域に根ざして国際社会を見据えようとする本学が、この協定を生かしつつ、まちづくりの一環としても教育?文化を振興させるよう、期待されます。
執筆
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- 執筆者
- 日本文化学部学部生
今浦 菜月
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- 投稿日
- 2023年08月24日
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