コラム

県立大チームが快挙 ロボカップ世界大会準優勝

2009年のロボカップ世界大会は6月29日~7月5日、オーストリアのグラーツで開催された。会場は市中心部にあるStadthalle Graz。2002年10月にオープンした大規模な会議や展示会が開催される市民ホールである。

愛知県立大学のチームはRoboDragons。2009年の世界大会遠征は、前野順也(M2)をチームリーダーとし、阿知波宏樹(M2)、玉置純也(M2)、盛林達哉(M2)、鈴木沙織(B4)、石川明(B2)、酒井貴志(B2)の総勢7名。学年も多彩だ。これに成瀬正教授と村上和人教授がスタッフとして加わる。

6月28日に中部国際空港を発ち、フランクフルトを経由してグラーツ空港には同日夕刻に到着。宿泊ホテルはMercure City。世界大会は夜遅くまで調整やプログラム改良が続く毎日であり、会場まで歩いて行けるホテルの確保は重要なミッションだ。

世界大会の参加は、サッカーワールドカップのように大陸や地域ごとに予選がある訳ではなく、各チームの技術的な特徴や性能をまとめたTeam Description Paper(TDP)と各チームのロボットが実際に動作することを証明する無編集ビデオによって審査される。2009年の世界大会はスコア上位の21チームが世界大会に出場し、4つのグループに分けられ、総当りで行う予選リーグと、各リーグの上位2チームがトーナメント形式で対戦する決勝トーナメントの順で試合が展開された。

予選リーグは7月1日~3日。初日のRoboPet(ブラジル)との試合は10対0でコールド勝ち。続くOmid(イラン)にもコールド勝ち。幸先のよい出だしだ。2日目の対戦相手はER-Force(ドイツ)。ロボットの完成度も高く、チームワークもよいチームだ。何とか6 対0で勝利。3日目のThunderbots(カナダ)との試合は10対0で圧勝。最終戦のZjuNlict(中国)は毎年、上位の成績を上げているチーム。接戦となり、1対1で引き分け。予選リーグは得失点差によりグループ1位で通過した。

7月4日から決勝トーナメント。最初の準々決勝はb-smart(ドイツ)との対戦。堅い守りのチームである。試合は1対0で辛勝。次の対戦相手は図らずも日本勢同士の対戦となり、相手は優勝候補と見られていたCMDragons(アメリカ)を破って勝ち上がってきたODENS(日本、大阪電気通信大学)。何とか2対0で勝利し、初の決勝へとコマを進めた。決勝の相手はSkuba(タイ)。タイのチームはレベルが高く、ここ数年、優勝を続けている。ロボットのスピード、正確なパスや精度の高いシュートに圧倒され、11対1で惨敗。実力差をまざまざと見せつけられた試合となった。

ロボカップは、パスやシュートといったロボット同士の協調動作の実現という技術的成果を競う場であると同時に、チームとしてのプロジェクト管理能力、各国の参加チームとの国際的なコミュニケーション能力を培うという教育的効果を生む格好の場である。よい成果を上げればメディアにも取り上げられ、学生には更なる励みになる。この先も世界の頂点を目指し、チャレンジを続けていければ何よりである。

ロボカップ世界大会2009の遠征メンバー
対戦相手との記念撮影(b-smart、ドイツ)
対戦相手との記念撮影(Skuba、タイ)

執筆

  • 執筆者
    情報科学部教授
    村上 和人
  • 投稿日
    2023年09月08日

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