コラム

「県大世界あいち学」 ――新しい愛県大の教養教育

愛県大の教養教育は、新しく生まれ変わりました。その愛称は「県大世界あいち学」です。

教養教育には独自の役割があります。しかも愛知県立大学にこそ必要で有効な教養教育があるはずです。そのような考えに基づいて準備し、全学での検討を踏まえて、「県大世界あいち学」は2021年度に船出しました。

幅広い学術知見の獲得とその有効な活用を担う人格を養成する上で、教養教育の重要性は、戦後の高等教育史で繰り返し確認されてきました。とはいえ、教養教育または一般教育といえば、専門科目以前のやっつけ科目と見られがちで、一時期は「教養部解体」の波が日本の大学に押し寄せ、本学では一般教育担当の教員組織が1997年度末に解消されました。その後本学では、全教員が教養教育科目を分担するという仕組みで運用されてきました。

「県大世界あいち学」は、5学部の学術資源を有効に生かしうる条件の成熟を踏まえ、グローバル、情報、環境、地域などについての新しい課題に向き合って生き抜くための学術体験を学生に提供する、ということを意図しています。その場合特に、本学とその所在地である愛知に根ざして、日本、世界、人類、地球の将来を展望するという視野をもっています。そのため、授業科目とその編成は独特のものにしています。たとえば、外国語科目は、「県大世界あいち学」に組み込まれています。それは外国語科目を修得する目的、つまり多文化理解のもとでの人とのつながりに役立てる、ということに基づきます。

地域と世界を視野に入れて、文化の多様さを具体的に知り、知識と技術をその意味とともに理解することは、自分が志して入学した専門科目への力を底上げすることにもなるに違いありません。あわせて、その教養教育力は卒業後を展望する糧にもなるはずです。

将来また、「県大世界あいち学」がブラッシュアップされる機会もあることと思われます。その際には、たとえば、卒業生や地域の人たちとの学び、といった広がりが生まれるかも知れません。

※矢印は科目間のつながりをイメージしています。

執筆

  • 執筆者
    日本文化学部教授
    上川 通夫
  • 投稿日
    2023年08月21日

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