アクション?プラン
アクション?プランは本学が2024年度までの国際交流活動を学内外に宣言するために、独自に設定する計画です。外国語学部を中心に積み上げられてきた国際交流の実績を踏まえ、「第三期中期計画」を基に示した「国際戦略方針」(2019年)を具体化するものとして、「アクション?プラン策定のための指針」(2020年)に沿って策定されています。
愛知県は外国籍住民数が全国で2番目に多い地域であり、多文化共生社会を目指しています。本学には、公立大学としてこの課題を共有するに相応しい実績と能力があります。今後さらに、「異文化交流を通じて人をつなぎ、愛知と世界の地域を結ぶ」大学に向けて、全学部?研究科を挙げて本学の国際的な通用性や独自性を学内外に発信していくための計画とその実践が重要な意味を持ちます。
【目的と到達点】
「グローバル化の課題に果敢に取り組む能力を備えた人材育成」を目的に掲げ、「国際平和につながる社会貢献――愛知から発信する顔が見える交流活動」を到達点に据えています。「果敢に取り組む」とは、世界的な感染症の広がりの中で、国や人々の間の分断?格差?対立が顕在化しており、人や社会の多様性を「つなぐ」教育や研究の展開に力を入れることがいっそう強く求められることに由ります。延いてはそれが、「国際平和」につながるはずです。アクション?プランに具体化される本学の国際戦略方針は、時代が要請する世界的な課題に応えるものです。
【3つの領域と10の「アクション対象分野」】
本アクション?プランは「海外留学と異文化間教育の活性化」(教育)、「専門分野を横断する国際的研究への挑戦」(研究)、「さらなる国際化を目指す大学づくり」(環境)の3つの領域から構成されています。各領域に、本学の特色を醸し出せる「アクション対象分野」計10項目を設定し、各分野に学部?研究科と各部局による具体的な活動内容が掲げられています。いくつもの新たな活動内容を提示するのではなく、すでに行われている種々の取組みをできるだけ可視化し支援?強化することで、全学で意識を共有することを目指しています。
アクション対象分野
Ⅰ 異文化共感力を高めるための学内教育
Ⅱ 多様な文化的背景をもつ学生の受入と教育支援
Ⅲ 違いを認め合い国際平和に資する異文化間教育
Ⅳ 充実した留学を実現するための体制
Ⅴ 国際学術交流の新展開
Ⅵ 国境を越え専門を横断する研究体制
Ⅶ 地域と共に生み出す多文化共生社会
Ⅷ 教職員の国際化とグローバル社会への対応能力
Ⅸ 魅力ある大学国際戦略の策定と実行
Ⅹ 異文化間交流のための学内環境整備
Ⅰ 異文化共感力を高めるための学内教育
【具体的なアクション内容】
1.新教養教育「県大世界あいち学」における外国語教育の強化
(英語?初修外国語及び「外国語セミナー」(英?ポ?中?仏?西?独)の実施体制とカリキュラムの整備)
2.4年間の複数言語教育の実現
(地域的?言語的多様性に関する科目の設置、課外教育としての多言語学習センター[以下、iCoToBa]講座の充実と正規科目化)
3.異文化理解を促進する新教養教育の確立
(APU教養コア科目「多文化社会への招待」(仮)の設置、グローバル実践教育の教養教育への移行)
4.外国語による教養?専門科目のカリキュラムの実現
(実現可能な授業科目の選定、担当教員の配置計画の作成等)
Ⅱ 多様な文化的背景をもつ学生の受入と教育支援
【具体的なアクション内容】
1.短期受入留学生のための教育プログラムの構築
(日本語教育の段階的履修モデルの整備、日本語初級[N5以下]科目の充実化)
2.受入留学生に向けた教育支援体制の構築
(「留学生対象科目委員会」の設置、受入留学生のための授業内容と実施方法、担当教員とコーディネーターの配置)
3.各学部における留学生対象の専門科目の拡大
(候補となる科目に関する調査と分析、留学生への周知)
4.国際的経験を持つ学生への多様なキャリア支援体制の充実
(教養教育におけるキャリア教育の実施、国内外のインターンシップの情報収集)
5.特別入試制度の可能性と受入支援の検討
(外国人学校における進学状況や日本語レベルの把握、多様な文化的背景をもつ学生の入試制度[仮称「多文化グローバル人材特別入試」]導入や入学後の教育支援の検討)
6.多言語対応の留学生支援体制
(留学生のための学生相談と不測の事態での危機管理の観点からの生活?経済?出入国などの支援)
Ⅲ 違いを認め合い国際平和に資する異文化間教育
【具体的なアクション内容】
1.異なる言語や文化的背景をもつ学生が学び合う共修科目と課外活動の拡充
(日本語?外国語による教養?専門の共修科目の整備、iCoToBaでの異文化交流の活性化、協定大学とのオンライン授業の実現)
2.異文化や多文化社会の理解からの国際平和への取組みの強化
(SDGsなどの国際的指標を意識した学部固有の取組みの強化)
3.グローバルな課題への多文化的取組みの推進
(文化的背景を異にする学生同士の共同研究(学生自主企画等)の促進と支援、既存の支援制度の拡充)
4.異文化交流を主軸にした地域連携活動の推進
(多様性を理解するための教員と学生との地域に根ざす共同の取組みの推進)
Ⅳ 充実した留学を実現するための体制
【具体的なアクション内容】
1.派遣留学プログラムの整備
(単位互換?認定、科目の整合性の検討による休学なしの留学制度を学部ごとに検討)
2.教養教育「ショートプログラム」?海外研修制度の確立
(具体的な学修内容、媒介言語、国?地域に関する情報収集、単位互換の検討)
3.留学奨学金プログラムへの継続的申請
(双方向型のJASSOプログラムやそれ以外の外部資金の情報収集と申請)
4.派遣留学のための給付型奨学金や基金の新設可能性の検討
(海外留学を全学に広めるための方法の検討)
5.「国際交流?留学フェア」の拡充
(学生の学修ニーズや参加時期に配慮、学生の留学希望状況の学部?研究科での把握と関心学生への情報提供の徹底)
Ⅴ 国際学術交流の新展開
【具体的なアクション内容】
1.共同学位プログラムの実績の積み上げと新規開拓
(既存の共同学位プログラムの実績の検証と発展、各研究科内での新たな締結可能性の検討)
2.協定大学とのオンライン授業開催や共同企画の開催
(双方の教員及び院生との間の学術的交流の促進、国際的な共同研究の可能性の模索)
3.海外大学との学術交流の促進
(学内教員の国際学会?シンポジウムへの参加による情報収集と研究成果の発信、ICTを活用した海外研究者等との交流企画[オンライン?シンポジウム、ワークショップ、研究報告会等]の検討)
Ⅵ 国境を越え専門を横断する研究体制
【具体的なアクション内容】
1.「グローバル学術交流事業」の発展的継続
(国内外でグローバルに活躍する研究者?専門家による講演、実施体制の充実化、研究交流の継続)
2.新設研究所による国際?学際的研究交流の推進
(研究所による国際的な共同研究やシンポジウムの支援)
3.協定大学との共同研究体制の構築
(学部や専門領域を横断する学際的な大学間共同研究体制確立の試み)
4.国際的な研究を推進するための外部資金の獲得
(外部資金に関する情報収集、科研等の国際的共同研究への申請支援、外部事業への申請の検討と実施[世界展開力強化
事業、大型科研等]、新たな研究コーディネート(URA)設置可能性の検討)
Ⅶ 地域と共に生み出す多文化共生社会
【具体的なアクション内容】
1.医療福祉施設における多文化状況への関与と寄与
(国際文化研究科「コミュニティ通訳学コース」の設置検討、各年度ごと活動テーマの設定[外国籍住民の介護問題等])
2.多文化化する産業分野における教育連携プロジェクトの検討と実施
(「地域ものづくり学生共同プロジェクト」の科目化と拡充)
3.愛知県多文化共生推進室等との連携による教育研究活動の推進
(地域的課題への本学の関与、行政機関や他大学?研究機関との共同研究の可能性)
4.外国人学校との連携による教育?研究活動の検討
(外国人学校のニーズ調査、出前授業、独自のオープンキャンパス等の実施)
5.在外公館との共同教育連携事業の模索と推進
(在外公館からの教育に関する情報収集と企画の共催等)
Ⅷ 教職員の国際化とグローバル社会への対応能力
【具体的なアクション内容】
1.教職員の相互派遣研修制度等の推進
(協定大学への訪問、国際教育会議[NAFSA、EAIE、APAIE]への教職員の参加?発表、職員の人材育成のための短期海外研修制度の積極的活用)
2.教員の長期学外研究制度の充実化に向けた検討
(長期学外研究(365体育网投特別教員研究費)とサバティカル制度の検討)
3.教職員対象の外国語教室?異文化コミュニケーション講座の開催可能性の検討
iCoToBaや学食での「ランチ?セミナー」の充実と普及、本学で対応可能な希少言語地域に関する講座開設の可能性等)
Ⅸ 魅力ある大学国際戦略の策定と実行
【具体的なアクション内容】
1.国際戦略室の新設と戦略に基づく国際交流の活性化
(アクション?プランのPDCAサイクルによる検証、学術交流協定校の整理と重点化の検討)
2.本学独自の国際研究活動の効果的な発信
(国際交流に関するHPの拡充、ニュースレターの発行等)
3.「新グローバル人材育成事業」の発展
(2つのグローバル事業(実践教育推進室と学術交流推進委員会)の整理、見直し、拡充)
4.国際戦略室と留学支援室の連携体制の強化
(国際戦略室会議による教職協働体制の構築、留学支援委員会体制[部会を含む]の検討)
5.地域の特性に根ざす国際戦略の立案と実行
(愛知県の関連部署との連携推進強化、愛知の施策に基づく重点化内容?地域の分析、本学独自の戦略的視点の明確化)
Ⅹ 異文化間交流のための学内環境整備
【具体的なアクション内容】
1.異文化交流活動の活性化に向けた学内施設の整備
(目的積立金による留学生宿舎の整備?拡充、「異文化交流スペース」整備の検討、学内の各種名称の多言語化の検討)
2.国際交流に関わる教職員と学生との対話を促進する仕組みづくり
(留学の経験者、希望者、留学生との意見交換、全学歓迎レセプションや各学部?学科?研究科での取組みの充実)